プラシーボ効果というものがある。
「食材のことなんて気にしないよ!」という方は読まないでいただきたい。
深谷のもやし屋 飯塚雅俊氏のFacebookでの書き込みを紹介する許可をいただいたので転載いたします。
『もやし栽培、洗浄に使っている地下水の水質検査の結果がきた。一般細菌も大腸菌も不検出で「水質基準値に適合」との判定。
ついでに「もやし・発芽大豆」の細菌検査もしてもらった。何の滅菌処理もしないサンプルを提出。結果は「大腸菌」「O-157」は検出されず、ただ「一般生菌」「大腸菌群」の値が高いと。まあ当たり前かもしれない。成長力の強さとともに菌の繁殖が早いからもやしは日持ちがしないのだから。もやしが「加熱用食材」となっているのはそういうことだ。
そして分析したセンターから連絡がきた。
「この値だと食品加工会社への納品は厳しいかもしれません。次亜塩素酸での滅菌処理をお勧めします」と。
「ではどのくらいの濃度に次亜塩素酸水に漬け込めばいいのですか?」と聞くと、用途別の濃度表を送ってくれた。
野菜の場合は100PPMの次亜塩素酸水で漬け込めば抑えられるという。飯塚商店は「水道水レベル(0.1PPM)」しか使わない(それも保健所に言われて渋々)。じゃあ塩素が薄いわけだ。でも…「薬臭くない、爽やかな香り」がうちのもやしの最大のウリだ。水も悪くは無い。当たり前だが今までだって事故などおきてない。なんでそこまで菌数に厳しくなったんだろう。
などと考えているうちに、かつて訪れたもやし会社や、カット野菜工場の滅菌水槽の濃度を思い出した。確か200PPMだったはずだ。200PPM…濃度表をみるとそれは「ふきん・雑巾などの滅菌濃度」であった。その会社は量販店、コンビニに沢山卸している。「ふきんを滅菌するだけの次亜塩素酸水で漬け込んだ野菜を【安心・安全】でスーパー、コンビには生食用で売っている」わけだ。
さあどっちが安全なんだ?食の提供者である私は薬品による滅菌で保たれる安全基準は信じたくない。 』
<過ぎたるは及ばざるが如し>
漂白剤に漬け込んだもやしと、昔ながらの身の丈もやし。
どちらが安全なのでしょうか?
安心を得るために、過剰、過敏になり過ぎている事が多い気がします。
大きくなりすぎた市場は、死角や影が多い。“知る”ことが自分の健康を守る一歩です。
料理人の僕がひとつ言えることは、過剰な塩素にさらされていない、豆も根っこもある飯塚氏のもやしは美味い。彼のもやしを最初に口にした時の僕の感想は…
「もやしはハーブだ。」