今年の夏の土用の丑の日は、今週金曜日、7/27みたいね。
高くて食べられないからではありません。安くて食べる気にならないからです。
そんなことを言うと、反感を買いそうですが…
念の為に伝えますが…僕は貧乏です。
お坊ちゃま育ちですが、店を始めてから支払いに悩まぬ月、日々は無く、貯金もありません。
それでも、安売りされた鰻なんか食べたくないのです。
『餅は餅屋』という言葉がありますよね。
鰻に関しても、コンビニさん、スーパーさん、牛丼チェーン店さんなどの手出しは無用に思います。
確かに昔に比べると、スーパーさんなどの蒲焼も味が良くなってきているのは認めます。フライパンで、少しお酒でもふって熱してみるとふっくらともします。でもね、、、鰻のような高級食材だからこそ、職人さんの手に委ねたい。敵う訳が無いですもん。
僕の勝手な想像かもしれませんが…量販店さんが参入すると、安売り競争が起こります。当然、大量仕入れでコストダウンを…と考えるでしょう。安定した取引のもと、足元を見られて安く取引させられている方がいることも想像できます。
大量に仕入れる理由の一つとして、大手の量販店さんは品切れを嫌うことが挙げられるでしょう。棚を埋め続ける安心感と引き換えに、食品廃棄もおこなわれるでしょうね。
…そこなんです!悲しいのは。足元見て無理して安く買占めて並べて捨てるくらいなら、ちゃんとした職人さんに引き渡すべきだ!
あなた方の言う“企業努力”という名の価格競争が、食文化を危機に追い込むこともあるのです。
僕が日々仕込む料理の量は少ないですが、イベントなどで大量に仕込む時に恐ろしい気持ちになるときがあります。
大量に仕込むことで、“丁寧な仕事”は“作業”になり、“食材様”は“モノ”に変わる感覚に陥ることがあるのです。そうならないように、イベントの料理にはそこを一番気をつけます。
それを、毎日のように当然の事として繰り返す量販店さん。僕なんかより、凄く良識があり、真面目で、素晴らしい人達の集団だとしても、そんな毎日の繰り返しで、食材様への尊敬を続けられるとは思えないんですよねぇ。。。
『低価格で、いつでもあることが当たり前』…その流れは大きくなり過ぎて、どこから風穴を開けるべきか…そもそも、無力な僕にそのような力は無いのは目に見えていること。
でもね、少しだけ考えて欲しいのです。
鰻が品薄な状況の裏に、「安さが正義」の時代にしてしまった僕等の罪と罰が隠れているのではないでしょうか?
鰻さんが育てない環境を作り出したのも僕等です。
『鰻問題』は、鰻だけのことではなく、昨今の“食”に対する象徴でもあると思うのです。
今年の土用は、稼ぎが少ないので鰻を諦めます。来年は食べられるように頑張ります!そもそも、鰻って言うものは、それくらい高級なもので良いのではないでしょうか?
『庶民の味方』という表面上の言葉の犠牲に、『天然うなぎ絶滅』の将来が見える気がしてなりません。
年に数度ある土用の丑の日。晩秋から初冬のほうが脂のノリがいいのにね。でも、夏が一番盛り上がるんでしょうな。
だからさ、頑張ってねー!全国の鰻職人さん達!!量販店に負けないでねー!!!
…まぁ、口だけで売り上げに貢献できませんが。。。
餅は餅屋!鰻は鰻屋!パスタはパンチャだっ!www
【追記】イタリアでも鰻を食べるんですよー!