伝統と伝承

2012 4/29

一週間ほど前の話。銘菓と呼ばれる菓子職人さんの話。…と濁してもバレるので…五家寶職人さんの話。
彼は、大量生産される五家寶を作る傍ら、本当に美味しいのは作りたての…子供の頃つまみ食いした、職人である先代の父親が作る出来立ての五家寶が一番旨いのだと、“生五家寶”の実演を行っている。
本当に、感動的に美味しい。
彼の五家寶に出会って以来、僕は他のお店のものは食べたくなくなってしまった。
去年のことであるが、『五家寶×もやし×イタリア料理』というイベントをしたこともあり、素朴で素直な五家寶は菓子でありながら、ドルチェだけに限らず、前菜やメインの肉料理にも使えるという発見をさせていただいた。
前置きが長くなるので、彼のお店を紹介して今日の主題に移ろう。

→五家寶屋重右ヱ門http://nishi5.cart.fc2.com/

そう、彼が話してくれたことが一週間頭の片隅でズキズキしていた。
彼の魅力、五家寶の魅力が一番輝く実演の話。
伝統的なお菓子でもあるので、よくデパートなどの出店依頼もある。そこで実演も披露するのだ。
五家寶の作り方を実演を見た経験をもとに簡単に説明すると…(間違えてたらゴメンね)、パフ状のもち米を水飴で繋ぎ心棒を作り、水飴で練られたきな粉をコーティングする…と、言った感じだろうか。
手作りの生五家寶を作る際、それらの作業は木製の大きなまな板のような作業台と長い木製の麺棒、均等にする為の木製の板を使用する。
その“木製”に、大手のデパートなどでは注意勧告が出される場合があるという。ステンレス製にして欲しいと言うのだ。
理由としては、大きく2つ。
①木片の混入の可能性を避ける。
②雑菌の繁殖を防ぐ。
解らないでもない。でも、木や葉の抗菌効果を利用した道具や製品は沢山ある。
職人にとって、道具は単なる調理器具ではない。
実際、彼は麺棒などに自分なりの細工を施すという。普通に削られた麺棒は表面が滑らか過ぎるので削って木目を浮かせる。木目がストッパーの役目を果たすと言うのだ。ステンレスの棒ではひっかかりが無く、しっくりこないと言っていた。
こういった拘りが職人気質と云われるものであり、伝統技術なのではないだろうか?
大手のデパートは、伝統の道具を何十年、何百年と問題の無かった“衛生面”という強迫観念とも言うべきものを理由に作り変えさせ、それを“伝統の~”と言って販売するのだろうか。
伝統を引き継ぐだけでは伝承できない寂しさを感じた。
お祭りのお囃子などもそう。今どき、腿を真っ赤に腫らして練習する子供は皆無だ。
昨日話した深谷の若き鬼瓦職人にも、伝統を守る厳しさ、伝承していくことの難しさを感じた。瓦を乗せている屋根をあまり見かけない時代である。
イタリア料理に関わる僕が言うのも失礼な話かもしれないが…日本の職人さんの技術って凄いですよね。
消えることなく伝えて欲しいです。

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